新卒就職難、原因は売り手か買い手か

 来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日現在)は62.5%で、前年同期より7.4ポイント下回ることが18日、文部科学、厚生労働両省のまとめで分かった。下げ幅は、調査を始めた96年以降最大で、内定率も03年の60.2%、04年の61.3%に次いで3番目の低さとなっている。

引用元: asahi.com(朝日新聞社):来春卒大学生、内定率62.5% 下落率が過去最大 – 就職・転職.

 前の記事を書いている時に思い出したニュースを。大学生の就職内定率が前年度から思い切り落ち込んだというお話です。私も一つ上の先輩方の就活エピソードとは全く異なる就活をすることになったので、昨年よりはだいぶ落ち込んでいるのだろうとは思っていましたが、いわゆる「就職氷河期」と肩を並べる程度の内定率なのですね。ここまでひどいとは予想外。

 ちなみに、4月の段階で出ていた「求人倍率」は以下のようになっていました。

 リクルートの調査によると、2010年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした求人倍率は1.62倍で、前年の2.14倍から大きく落ち込んだ。下げ幅は0.52ポイントと、1987年に調査を始めて以来最大だった。

引用元: 大卒の求人、1.62倍に低下、過去最大の下げ幅、リクルート調査 | 企業・経営:ニュース・解説 | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉.

 やはり前年度からの落ち幅は大きいものの、

 なお、全体の求人倍率は記録的な就職難だった1996年3月卒(1.08倍)や2000年3月卒(0.99倍)に比べると依然高い水準にある。

 とあるように、それほど求人倍率が低いようには感じられません。1.62ということは、単純に考えて就職希望者2人に対して3人分以上の就職先があるということですから。……では、なぜ10月になっても4割近くの大学生に内定が出ていないなんてことになっているのか?

 まず、この2つの情報を最も素直に受け取った場合。すなわち「企業が募集をかけているのに応募者が来ない」という、実は売り手市場が継続中なんじゃないかという話です。この説を支えるのは、求人倍率の記事にある

 従業員規模1000人以上の企業では求人数が前年比23.5%減の16万人だが、就職希望者は同8.1%増の29万1000人。求人倍率は前年から0.22ポイント低下して0.55倍になった。

という一節。まあいわゆる大手病というか、大企業志向が強まっているのですね。もしこの説が正しいのであれば、内定率が低いのは売り手である学生側の視野が狭いから、ということになり、就職サイトやセミナーで言われるような「広い視点を持て!」とか「企業は規模だけで選ぶものではない!」という話もこういう点を気にしているようにも思えます。

 でも、今年度の就活をしてきた人間としては、さすがにそれだけで内定率がここまで下がることはないだろうと思うのです。もし志望が偏っていたのなら、採用人数に達していない会社はもう少し採用活動を長期化させ、夏・秋の採用がもっと賑わっていただろうと思いますし。実際には4月の選考が長期化し、内々定が出る時期が遅れただけのように思います。

 そういうことを考えると、「公表していた採用予定人数と実際の内定者数の差が大きい」という可能性もまた高いように思います。例えば「予定はあくまで予定。これだけとるつもりだったけど、うちで内々定を出すレベルの学生が少なかっただけ」とか、「採用予定人数きっちりに内々定を出したのだけど、辞退者が結構いて予定人数に達さなかった」ということを言われるのだと思われますが、ここが去年までと今年の就活における違いかなと。
 こうなると、(今年の学生のレベルが低いんだ! というお叱りを受けるとどうしようもありませんが)この状況は買い手である企業が作り出したものとも考えられます。就職戦線は打って変わって買い手市場と呼べるかと。

 ここまでつらつらと書いてきましたが、こんな矛盾が生じるほど最近の景気悪化はすさまじいということなのだと思います。来年から職があることに感謝しつつ、2011年卒の方々の就活が報われるものになることを祈るばかりです。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>